2009年10月29日

コンサルタント

世の中には「コンサルタント」と称する人があふれている。
私自身、仕事でコミュニケーション活動に関わる相談を受けたり、アドバイスをさせていただいたりする機会もある。そういうときに「あなたはコンサルタントですね?」と言われるたびに「いいえ。私はコンサルタントではありません。」とお答えしている。それは、巷にあふれるコンサルタントの中には怪しげな人も少なくないからで、本音のことを言うと、私はコンサルタントに対して懐疑的だった。
でも中にはとても優秀なコンサルタントの方が多くいらっしゃるのも事実で、懐疑的な私も、コンサルタントの発行するメルマガを愛読していたりもする。先日、そのお一人から、私はコンサルティング(セッション)を受ける機会を得た。私にとっては初体験だ。
そもそも、私は自らの新規事業立案を模索中で、そのビジネススキームに不安を抱いていた。また一方で、日々の仕事に忙殺される中で、なかなかその新規事業をツメていく作業に特化しきれない自分に対してジレンマを抱えていた。そのあたりについて、コンサルタントの意見を聞きたいと考えていたのだ。
結論から言って、コンサルティングを受けるというのは、私にとって大きな意味があった。結局のところ、判断したり決定したりするのは私自身なのだから、答えは自分自身にあるのは間違いないのだが、コンサルティングというのは、それを導き出すうえでの後押しになると思った。物事を見る上でどちらから見るかという見方や、自分自身が気づかない視点に気づけたり、どうしても自分の問題では近視眼的になりがちなときに客観的な意見や俯瞰した意見などを聞くことができる。そのコンサルタントの言うことを聞くかどうかは私の判断であるし、義務もない。けれども、それによって私が日々悶々としていた悩みや迷いのような霧が、すっと晴れた面があった。
その方は水野与志朗さん。ブランディングに特化したコンサルタントで、パーソナルブランドに関するセッションも行う人だ。私は水野さんの仕事に対する考え方に共感することが多く、懐疑的だったコンサルティングを受けてみようと思ったわけだ。彼のセッションで私が何よりうれしかったのは、忙殺の日々についてジレンマを抱えていた事態を「いろいろなことにチャレンジする」個性と評価してくれたことだった。ジレンマがモチベーションに変わったわけで、俗に言う「背中を押してもらった」のだ。水野さんのおかげで、私のコンサルタントに対する悪イメージは払拭された(笑)。
コンサルティングというのは、企業にとっても個人にとっても、前に進むためのツール(道具)の一つになり得るのかもしれない。

2009年10月23日

書籍好調、感謝・・・!

先日このBlogで紹介した書籍「日本の食材帖」(主婦と生活社)が、おかげさまで好調だ。
本書制作にあたって、取材させていただいた生産者関係の方々など多くの方からお褒めの言葉をいただくなど、ありがたいことに大変嬉しい評価をいただいている。
事典と図鑑を合わせたような書籍なのに全体に読みやすい構成であること、内容の濃いこと、「食」にあまり関心のないような消費者でもわかりやすく読めること、いろんな方に紹介したくなる、 写真がきれいでただ眺めているだけでも楽しい、説明文は簡潔でわかりやすい、などなど、わざわざご連絡くださった皆様に感謝申し上げたい。
実際、私が担当したのは、本書の「肉」「卵」についての部分だけなので、このような嬉しい評価をいただけるのは、全体をまとめてくださった方々の力が、何よりも大きい。つくづく、仕事をする上では、ご一緒させていただけることに感謝し、そういう方々とのご縁を大切にしていきたいと感じた。
書店での平積みに、人が手に取っているのを目にすると、やはり感謝だ。
仕事というのは、感謝のうえに成り立つものだと、改めて自分に言い聞かせている。
今後ネット書店のカスタマーレビューも気にしつつ・・・。

2009年10月15日

スピード出版

書店の目立つコーナーに、酒井法子に関する本が高く平積みされていた。見れば、あの酒井法子がなぜ覚醒剤にはまったのか?を書いてある本だ。
発売時期順に「碧いうさぎの涙」晋遊舎(憲旺利之)、「酒井法子 隠された素顔」イーストプレス(梨本勝)、「酒井法子 孤独なうさぎ」双葉社(渡邉裕二)と、現在3冊出ている。ワイドショーだけにとどまらず、あれだけのニュースになった素材だからこそ、出版化は必然とも言えるだろう。もっとも後発なのが「酒井法子 孤独なうさぎ」双葉社(渡邉裕二)で、10月9日発売、初版が2万部で既に増刷が決定したという。出版不況の中、発行した出版社にとってはドル箱になるであろうことは間違いない。
いずれも保釈記者会見までの内容になっていることから思えば、企画から発売までで、正味わずか1か月前後しかかかっていないことになる。著者の梨本氏は携帯サイトを、渡邉氏はブログを書いており、素材がそろっていた※とは言え、かなりのスピード出版である。
このような話題は、何よりも旬が大事だ。旬を逃したら大きな機会ロスになる。だから出版を急ぐ必要があったのだろうが、それを2週間から1カ月でやり遂げることに驚いた。梨本氏自身も、企画からわずか2週間で本が出ることに自分自身が驚いたと、あとがきで書いている。
DTP~印刷技術が進んだことに加え、すさまじい機動力がこれを実現させているに違いない。大手ではない出版社だからこそできたのかもしれない。本を読む人が減り、本を読まなくなり、本が売れない今の時代、出版社の倒産危機の噂話もしばしば耳に入ってくる。それでも、今知りたい情報を、今すぐに届ければ、本はちゃんと売れるのである。
この「旬」を逃さないスピード化は、出版界に限らず、今のような不況の時代を勝ち抜くカギの一つになるのだろう。

※憲旺氏に素材があったのかどうかは未確認。

2009年10月9日

農業ビジネス起業

世の中では今、農業がブームだ。
かつて、不人気だった農業は、今や自然回帰やエコブーム、安心安全志向などの追い風で、家庭菜園人気とともに、ビジネスとしても注目されている。そういう中で、農業ビジネスを進める上でアドバイスをする機会を得た。
依頼主は、親がリタイヤするのを機に地方に居を移したことがきっかけで、家族で家庭菜園をしながら畑を大きくしていったことから、農業をビジネスとして取り組んでいこうと考えたという。都会で会社員として今も働きながら、家族は地方で家庭菜園をしている。本人は農業については素人だが、家族が住む地方に週末通うようになり、不思議な現実を目にしたのがビジネス化へのきっかけだ。周辺は土壌に恵まれ、豊富な農作物が採れるものの、周囲で売られる野菜は他県産のものばかり。農産物販売所で売られるものまでが他県産なのだ。地元の農作物は農協に出しても大した収入にならないので、作った農産物は自家用が中心で、消費しきれないものは廃棄している。当然、農業の担い手は高齢化しつつあり、耕作放棄地も増えつつある。このおかしな現実を変えたい、というのがビジネス志向の始まりだったという。耕作地を守り、農業という産業を守るために、せっかくできた農作物を廃棄することなく地元で消費できるシステム作りをしたいというわけだ。
かつて、農業の活性化や地域活性化策を手がけてきた私にとっては、これは大いに興味深い話だ。何よりも、まず素人の会社員の発想から始まったこと、そして素人ゆえにが何の試算も持たなかったことが、さらに私に火をつける。その歩は、ゆっくりゆっくりになるだろうが、日本を元気にするためのチカラになることは間違いないだろう。いずれこのBlogでも、その経過を紹介していきたいと思う。

2009年10月2日

コントロール

最近出席したセミナーで聞いた話の一部を紹介したい。
「“ヒト”はコントロールしたい動物である。“ヒト”はコントロールされるのが嫌な動物である。それをうまく進めるために、世の中には“カウンセリング”とか“コーチング”とか“目標管理制度”とかいろいろなアプリケーションがある。しかしこれはあくまでもアプリケーションであって、OSではない。」
現実には指示されないと動けないような人も多くいるし、まったくの自由だと何もできなくなったりするのもよくある話だ。けれども、要はコントロールされている意識になるかどうか、が重要なのだ。同じように、どんな小さなことであっても自分がコントロールできる部分があれば、それで満足を得ることができる。この原則は、仕事だけでなく人間関係(友人、恋人、家族など)にもそのまま当てはまる話で、これを忘れると、人間関係はもちろん、ビジネスも失敗するのだ。
私自身を考えてみても、仕事では人をコントロールしようとしている傾向があると思う。それが相手にとってコントロールされている感があれば、さぞかし不愉快に違いない。改めて自戒の念を持つきっかけとなる話だった。