2011年11月11日

プラスの感情、すかさず褒める

世界体操で金メダルをとった内村航平選手。
かねてから野菜が嫌いなど、アスリートでありながらその偏食ぶりは、ずいぶん前から有名だった。内村選手の母親のは話によれば、「嬉しい」「楽しい」「やりたい」を大事にしてきたという。内村選手は、好きな段違い平行棒の下で眠ってしまうこともあるくらい、鉄棒が好きだったという。

9月4日に放映されたNHKスペシャル「脳がよみがえる~脳卒中・リハビリ革命~」の中では、脳は褒めれると活性化するという話が出てきた。すかさず褒める、それも具体的に褒めるとよいという話だ。

私自身のことを振り返って考えてみると、学生から社会人になったばかりの1年目。右も左もわからず、毎日上司に叱られてばかりだった。叱られながらもどのように改善したらいいかもわからず悶々とし、泣いてばかりの苦しい日々だった。それでも、幸い私は知恵もなく鈍感な方だったので、逃げるという選択肢も浮かばず、耐え続けていた。当時は、その上司に「がんばったね」と褒めてもらうためだけに、がんばっていたことを、今になって可笑しく思いながらも思い出す。その後、私が褒められたかどうかはあまり記憶にはないのだが。

さて、そんな私だったが、今はそれなりのベテランになって、就職して間もない20代の若手広告マン数名の指導にあたっている。
はじめの頃、彼らは私が思いもつかないような妙な考え方をしたり、配慮に欠けて問題を起こしたり、問題があっても気づかなかったりしていた。おそらく彼らは、何がわからないかも理解できずにいたのだ。
それでも、彼らにはそれぞれ固有の個性があり、それが取引先に喜ばれたり、社内の者を気持ちよくしたりすることがある。そういう時、すぐその場ですかさず褒めると、不思議なことにその後がぐんと変わってくるのだ。褒めたことと全然関係ないことであったとしても。もちろん、私は日々褒めるばかりではなく、叱ることもあるのだが、褒めることによって、叱ったことが生きてくるように思う。

NHKスペシャルで出てきた話のように、内村選手も、その20代の若手広告マンも、そして大昔の私も、つながっている。プラスの感情というのは、マイナスの感情よりもずっと大きな力を持つのだ。

仕事上の人間関係もきっと同じことだろう。
相手のいいところを見る・・・よく言われることではあるが、それによって関係がどんどんよくなっていくことを、仕事の場面でも実感する。
関係性というのは鏡みたいなものでもあるから、好意的であれば相手も好意的になる。
相手のある仕事は、相手のいいところを発見し、すかさずそのことを伝えることで、よりよい仕事にしていきたいものである。