2012年6月6日

視点、受け止め方、考え方を変える

人生は山あり谷あり。
誰だって、いい時もあれば悪い時もある。 

電車中吊り広告で、5月21日発売のAERAの「“「第1志望」落ちたから今がある」の見出しを見た時、私はとてもそそられた。
振り返ってみると、私も第一志には進めなかった経験が多く、その昔、母は私のことを「あなたは運が悪い」と同情していた。 中学受験で第一志望がかなず、大学受験で第一志望がかなわず、就職で第一志望がかなわず・・・。
実際には運ではなく実力の要因が大きくかなわなかったのだが、結果的にはそれがかえってうまく転んでいることが多いような気がする。つまり第一志望に落ちた運のよさとでも言えるかもしれない。 そのおかげで今がある、と今、しみじみ思っている。
特に受験や就職などは、まだ自分の志向や方向性がわかりもしないのに、間違った思い込みで設定した第一志望を設定するケースもあるのだろう。
私自身のその後の人生から見れば、第一志望ではなかった環境に身をおくことで得られたことは、とても大きかったように思う。
第一志望失敗経験者としてAERAに掲載されている人は、ノーベル化学賞受賞者の田中耕一さんや、ベンチャー企業育成や投資を行うKlab Venturesの長野社長など、私などとは比較するのも恐れ多いことではあるが、ちょっとした考え方や受け止め方と、その後の意識で変わって行くことがあることを教えてくれた。

時期を同じくして、ブランドコンサルタントの水野与志朗さんのメルマガ記事でも、ハッとすることが書かれていた。
美大出身でプロダクト・デザイナーとして活躍していたご友人が事故で怪我をし、絵も描けなくなったご友人が、その事故を契機に、経営や、安全に働ける環境、労使関係に関心を持ち、今、労使協調をしながら経営について話す場でイキイキと活躍されているという。 
悪いこと、悲しいこと、残念なことが、人生にしばしば訪れるのは、なかなか避けようはない。 けれど、それを生かすも殺すも本人の視点次第だと、改めて気づかせてくれた。 
6月2日の朝日新聞土曜版beでは、アメリカで成功したソース王、吉田潤喜さんの言葉「運命っておもろな。視力を失わなければ米国に来ることも、必死になってがんばることもなかった。後から考えると全部ラッキー、全部感謝や。」を掲載していた。
つい先日、還暦直前の女性と、打ち合わせの機会があった。
彼女は、去年念願の起業を果たし、社会のために自身が開発したアクティビティを、これから広めていこうと考えている。
いよいよこれからというこの時期に、彼女自身に健康的な不安要素がいくつか出てきて、これから検査だというが、近々に講演依頼も入っている。
まずはせっかくの仕事のチャンスだから講演はきちんと対応し、検査はその後になるよう予約したという。そして、
「検査前の不安を経験することができた。イメージと経験は大違い。これがきっと何かに生きるでしょう。検査の結果はどうなるかわからないけど、もし病気がみつかれば病気の人の気持ちがわかる。」
と語り、私は心底驚かされた。 

本人の視点、受け止め方、考え方・・・ そして、それをどう未来に生かしていくか。 簡単なことではないが、これができると、仕事も人生も、ぐっと輝いていくに違いない。常にこうありたいものである。