2012年10月22日

コミュニケーションの土台、「らしさ」を明確にするために

私のそもそもの専門は広告・PRで、実際に仕事をしているのは、広告やPRのアドバイスやコーディネートである。
その私が通常持ち歩いている名刺の肩書きは、「コミュニケーション・スペシャリスト」。
でもほとんどの人に、その中身をご理解いただくことはない。
私自身も、もう少しわかりやすくお伝えした方がいいなあとは思うのだが、そのままになっている。

一般の方にはわかりにくいかもしれないが、広告やPRの活動をまとめて、「コミュニケーション」という。
日本で「コミュニケーション」というと、お話の仕方という狭い分野で理解されがちだ。
しかし本来、メッセージを伝える、メッセージを受け取る、これが「コミュニケーション」なので、広告はまさしく企業や商品についてのメッセージを送ること、すなわちコミュニケーションである。


でも私は、広告・PR活動と並行して、個人のコミュニケーションについても注目している。
特に、コミュニケーションの土台になるはずのその人らしさに注目しているのだ。
なぜなら、「その人らしさ」が、働き方や生き方に大きく影響し、それが結果的にパフォーマンス発揮にも大きく影響するからだ。
この「らしさ」というものが確立されていないと、本来、コミュニケーションがきちんととれないはずだと、私は考えている。

これは個人も企業も同じ。
うわべだけ整えたところで、土台(企業なら理念、個人なら生き方)がしっかりしていなければ、場当たり的なコミュニケーションになり、周りに影響力を与えることなどできないだろうと思う。
そんな背景から昨年から不定期で開催しているのが、個人の生き方・働き方を共に考える「自分らしさ」発見勉強会シリーズ。
今年8月には、男女不問の勉強会と、女子限定勉強会とを、集中的に開催した。
好評だったものの平日夜開催だったため、女性の方から休日昼間の追加開催の要望が寄せられていた。

そこで、このたび、休日昼間開催を行います。

8月に開催した勉強会卒業生、ノマド料理人・今野翔子さんとの初コラボ開催です。


自分の将来が不安な人集まれ!
「自分らしさ発見 女の仕事や人生を考えるための勉強会」
~冬の寒さから体を守るための薬膳ランチつき~

 【日 時】 11月18日(日)11:00~15:00
 【場 所】 東京都千代田区内の調理設備付き会議室(詳細の場所は、お申込み者に直接連絡します) 
 【講 師】 ナビゲーター 石崎公子
        薬膳料理   今野翔子
 【参加費】 ¥3,500。
 【お問合せ・お申込み】 こちらからお願いします。  
 ※資料のご用意があるので、事前にお申込みがないと参加できません。
 ※勉強会のみの参加、食事会のみの参加をご希望の方は、ご相談に応じます(参加費は変わりません)。

2012年10月18日

仕事上のコミュニケーションも、情報整理に加えて自分らしさが。


仕事上のコミュニケーションに関する悩みで、最も多いのが「思っていることをうまく伝えられないこと」(55%)だという記事をフェイスブック(以下FB)で目にした。

上司に報告をすると、「で、結局何がいいたいの?」と言われてしまう、という事例が挙がったと言う。
この記事を読んだ時、私はとてもわかる気がした。
なぜなら、自分自身が若い世代にそれに類することをしばしば言っていたからである。

この8月、私は自分らしい働き方をしているかを考える勉強会を集中的に開催した。
この勉強会は、昨年からスタートしたものだったが、その最初のきっかけは、「上司に自分の提案や考え方をうまく伝えられない。説得できない。」という悩みから、自分自身の働き方を改めて考える必要性がある、と考え始めた友人の存在だった。
この友人は当時、「上司に提案をしているつもりが、話しているうちに自分自身が何を言っているかわからなくなり、上司に意図が伝えられないことがよくある。」と言っていた。自分の考えをちゃんと伝えられず、本人から見れば上司の理不尽な要求に常時疑問を抱いているものだから、相互の意思疎通がうまくいかず、結果的に自分の評価が著しく下げられてしまう。この現実に悶々とした日々を過ごしていたのだ。

この調査自体はまったく新しいものではなかったが、果たして今はどうなっているのだろうか?
デジタル化やSNSの普及などで、リアルなコミュニケーションが薄くなっていく今の時代、おそらくもっともっと、そう感じている人が増えているのではないかと気になるところだ。
さらに、思っていることをうまく伝えるためにも、あふれる情報をどう整理するか、という訓練が不足している面はないだろうか。気持ちや思いが先行するあまり、他者に理解しやすいように順序立てて整理できていないことはないか。コピペ文化が一般化し、いろいろ情報を並べる中で、取捨選択をしないままアウトプットしてきたツケとも言える。

まず自分自身が何を言いたいのか、情報を整理すること。
その上で、カッコよく話そうとか、理路整然と話そう、とか思わず、自分の言葉で話すこと。
私はこれに尽きると思っている。
世の中にはプレゼンテーションテクニックの情報が溢れ、カッコよく話そうとして変な無理が生じているように思う。その結果、結局何が言いたいのかが見えず、何も伝わらなくなるのだ。
口下手でも誠意が伝われば、ちゃんと意思は伝わる。
提案もできるし、説得もできる。
口のうまい人ほど、信用を得にくい場合もある。

本人の中で情報整理ができていれば、という前提つきだが、結局のところ、コミュニケーションは人間関係、信頼関係。
相互で信頼関係ができていなければ、「聞く耳」にフタをして(されて)しまう。
つまり、人間同士のつきあいという、とても生臭いところに行きついてしまうように思うのだ。
だからこそ、自分の日々の生き方・姿勢など人間性に関わる根源的な部分が、問われているように思う。
その上で、自分の強みや個性を生かしたコミュニケーションの取り方が、重要になってくると思う。

2012年10月1日

「お年寄りの顔を輝かせたい」 高齢者アートの発表会

右側のサイドバーでも下の方でも紹介しているが、私が提供している新サービスの一つに、「大人の発表会」がある。

「大人の発表会」とは、自分の趣味などを披露する(=人に見てもらう)こと。
子どもの頃にワクワクドキドキした学芸会やピアノの発表会。
学生時代の文化祭。
誰もがきっと経験したことがあるだろう。
その準備と当日は、充実感たっぷりで夢中になったに違いない。
大人になって、家族ができたり、仕事が忙しくなったりして、そういうことは忘れがちになり、遠くに置き去りにしてきた人も、“いい大人”になった今こそ、大人ならではの披露する場や自慢する場を作り上げてみよう!と提案し、その会場探しやプロデュースを行っているのだ。

「大人の発表会」のネタは、大人になってから始めた趣味、若い頃からずっと続けてきていること、ひたすら集め続けてきたコレクションなど、なんでもありだ。
発表会自体が面白いことはもちろんだが、人に見てもらう場を作ることで、旧交を温めながら楽しいお酒が飲めたり、疎遠な人との再会が実現したり、家族や親戚などを集めてファミリーの絆を再確認できたり、と副次効果も捨てがたいものがある。
これは個人個人の幸せにつながるものと思い、私はこれを普及させたいと考えて始めたのだ。

この「大人の発表会」で、9月10日~11日、東京・池袋でアートの作品展を開催した。
とは言うものの、この作品展は趣味の披露ではない。
発表者がライフワークとして開発に取り組んできたアートの披露。
趣味を披露する、という元々の「大人の発表会」主旨からは少しはずれるものだったが、お年寄りの幸せにつながる作品展だったので、やはり「大人の発表会」だ。

高齢化社会は今に始まったことではなく、社会問題としてどんどん深刻化している。
この作品展開催に当たっての背景は、考えさせられることが多いので、少し紹介したい。

発表者は、看護職として介護現場での15年の経験がある長瀬教子さん。
デイサービスや老人ホームなど、要支援・要介護のお年寄りが通う(または居住する)施設に働く職員にとって、お年寄りにどのように時間を過ごしてもらうかは大きなテーマだという。
子どものようなぬり絵や工作、脳トレと称した簡単な計算問題などが提供されることで、お年寄りの尊厳を損なうこともしばしばだそうだ。

お年寄りの「子どもじみていてイヤだ」「こんなことはやりたくない」という声。
一ついいことを取り入れたとしても、同じことの繰り返しはできず、さて次はどうしよう?と、職員にとっては常に精神的に追われている。
限られたコストの中で、いかに気持ちよく過ごしてもらうか。介護に関するスキルはあっても、お年寄りにイキイキ過ごしてもらうためのスキルは、職員個人にゆだねられがちで、現実は厳しい。
誰にでもできるような均一な手作業への不満が、意欲低下や認知症につながっていく様子を、間近で見ている職員の苦悩は大きいそうだ。

そういう中で長瀬さんが注目したのは、不用品を活用するアート。
それも出来栄えが上質で実用的なもので、種類が無限大なのでネタ切れせず、お年寄りも職員も飽きることがないもの。
しかも要支援や要介護のお年寄りでもできるようなものを、オリジナルアクティビティとして長瀬さんが開発し、自ら勤務する施設で取り入れたのだ。
その結果、そのアートにイキイキと取り組むお年寄りが増え、お年寄りの顔が輝くようになり、それ自体がハリとなっていくようになったことから、少しづつ近隣施設(埼玉県内)にも導入されるようになった。



そこで、自らが開発したアートの多様性や、種類の豊富さを一堂に見せる場を設け、より多くの人に見てもらいたいが、どうやって進めようか?と考えていた時に「大人の発表会」と出会った。それから都内での作品展開催を考え始め、「大人の発表会」として協力させていただくことになったのだ。

開催直前には、新聞にも記事が掲載された。

作品展を開催したところ、おいでになった方は、とても熱心だった。
説明を聞いたり、作り方や材料セットを買い求めたり、さらに学びたいという人も出てきた。
現場の職員が抱える悩みを、施設の経営層はどこまで知っているだろうか?

この作品展の様子は、「大人の発表会」サイトでも写真とともに掲載しているので、介護関係に関わる方々にはぜひ知っていただければと思う。


付記1)
10月16日、日本経済新聞(夕刊)で、掲載されました。



付記2)
11月10日、日本シルバー産業新聞にてカラーで掲載されました。