2014年11月22日

遺影が語る。顔が語る。

毎日新聞に、仲畑流万能川柳というのがある。

Wikipediaによれば、

1991年11月に毎日新聞でスタートした川柳のニューウェーブ。正式には「仲畑流万能川柳」と呼ぶ。日本を代表するコピーライター、仲畑貴志が毎日18句をピックアップして朝刊(通常は3面)掲載。最優秀作品には「秀逸」作としてニコニコマークがつけられ、毎月「月間賞」と「月間大賞」が選ばれる。さらにこの中から年間大賞、年間準大賞各1句、年間特別賞3句が選定され、受賞者は毎年5月に東京と大阪で交互に開かれる「強運者の集い」で仲畑から表彰される。
世相を鋭く風刺したり、人生の喜怒哀楽を率直に表現する句風が特徴。毎月約1万通(5万句)の葉書が寄せられ、新聞社の投句数としては全国一。これを仲畑がひとりで選定する。

とある。

その、11月20日に発表された句の中で、仲畑貴志さんが秀逸と選んだ句がこれ。

軍服の遺影が何か言いたそう 山口 英智郎


仲畑さんは、これを風刺かたとえ話として秀逸と判断したかもしれない。
でも私は、遺影は「言いたそう」ではなく、「言っている」と思う。
きっと語っている。

まあ昔の遺影は白黒の証明書写真のようなものばかりなので、「言いたそう」までで、なかなか「言っている」とは言えないかもしれない。
でも今の遺影は、随分変わってきた。
ふだんのそのままを捉えた写真を遺影にするケースが増えてきた。
そういう遺影は「語る」。

遺族や親しい人が見れば、きっとその人の声が聞こえる。
褒められたこと、叱られたこと、励まされたこと・・・。
そういう言葉を思い出させてくれる。
それは、遺族や親しい人へのメッセージ、贈り物にもなる。
お別れは悲しいことだけど、メッセージが僅かでも力になる。
そういう遺影を残すことは、周りの人への思いやりでもあると思う。

オトナになると、なかなか自分の写真を撮らなくなる。
だけど、年齢だけじゃなく、いつどこで何が起こるかわからないことを、
ここ数年で私たちは何度も実感させられてきたはずだ。

あなたは遺影にしてもいいくらいのお気に入りの写真を持っていますか?

今日はこれから、百歳の人の顔を撮り続けてきたカメラマン、小野庄一さん
とのトークイベントだ。
どんな話になるか、私も楽しみである。

「遺影」についてのトークイベント
百歳王写真館(巣鴨)にて。
11月22日(土) 13:30〜15:00 入場無料 出入り自由