2014年12月15日

学ぶことと、自分で考えようとすることが、新しい可能性を伸ばすはず

p25年勤務した会社を退職した直後、あるご縁でビジネススクールの
MBAエッセンスというクラスに通ったことがある。

それは、MBAの導入部分を網羅的に学ぶというものだったが、
その中には、ネゴシエーション、プレゼンテーション、という
カリキュラムがあった。
お稽古ごとではなく、会社の研修でもなく、
いわゆる学校に定期的に長期で通うというのは、大学を卒業後
初めての体験だった。

それまで私は広告会社の企画部門で6年、営業部門で19年
仕事をしてきた。
MBAとは言え、ネゴシエーションやプレゼンテーションを
授業で学ぶこと自体に、若干疑問を抱えて出席したのだが
それは予想に反して、とても意味のあることだった。

今まで長い時間をかけて経験的に身につけ、培ってきたことが体系化
され、理論的に整理されていたからだ。
しかもワークが豊富で身につきやすいだけでなく、新しい気づきも
豊富な構成になっていた。
もっと早い時期に、もっと若かった頃に、こういうことを学んでいれば、
おそらくもっと早くにもっと大きな成果を得られただろうと思った。

経験で学ぶには、長い時間がかかることがあるし、
いくら経験しても気づかないこともあるし、気づけないこともある。

考えてみれば、私はそれまで「考えるより先に行動するタイプ」だった。
意識無意識問わず、自分の興味の赴くままに情報をキャッチしてきた。
偶々仕事が好きだったので、その時の仕事に関わることは多少勉強して
きたとは思うが、どちらかといえばそれも成り行き。
行き詰まったり、苦しんだり、うまくいったりを繰り返しながら、
まがりなりにも多少は成長してきたように思う。

それは、ABCを知らないまま外国に行ってビジネス英語を身に
着けていくようなプロセスだったかもしれない。
意識を高く持ち、一生懸命頑張ればそりゃあ身につくのだろうが、
きっと事前に英語の基礎を学んでいれば、より早く身につくだろう。
基礎なしでも身につくかどうかは、本人の資質が大きく影響するのではないか。

「座学だけじゃ意味がない」
「理論ばかりで頭でっかちじゃしょうがない」
会社の研修に対してそういう声を耳にすることがあるが、
それは学び方とその後の生かし方によるのだと思う。

仕事は学校の勉強とは違うので、経験はたしかに大事だけど、
経験が浅い頃こそ、そのベースとなる考え方や方向性、やり方を知ることに意味があると思う。
その後の成果に関わるのではないかと思う。
それも、仕事を始めて少し経った頃に学ぶ価値が大きい。
多少仕事がわかってからだと、学ぶことがグングン浸み込んでくる気がする。

しかも、その学びで、どんな経験を積むのがよいかを自分で考えられれば、
その人のキャリア形成に、大いに生かされるように思う。

そうでないと、結局は元々個人が持っている資質やそれまでの経験に頼る要素に
左右される気がしてならないのだ。

私自身は、元々勉強することは全然好きじゃなかった。
それでも、今、学ぶことの価値を感じている。
企業も個人も、元々の資質に頼るだけではもったいない。
人は、いつからだって、どんな時からだって、
学び、そして自ら考えようとすれば、その新しい可能性を必ず伸ばせるはずだと思う。