2015年8月3日

進化するためには、「妬み」は大事な感情の一つだった。

自分では認めたくない、見たくない。イヤなイヤな感情・・・ね・た・み。
それが、大事な感情の一つだと言うのは、私にとってはホッとする新説です。

人のことを羨ましく思う気持ち

人のことを羨ましく思う。
なんで私はそうならないんだろう、そうできないんだろう、
あの人みたいに・・・とイジイジする。
そういうのってすごくみっともない。醜い。恥ずかしい。
ずっとそう思ってた。

だからそう思わないように思わないようにと、私は今まで意識してきたし、
努力もしてきた。
だけど、それでもどうにもならずにそういう気持ちがむくむく起き上がってきてしまうことがある。
妬みってヤツだ。
そうなると私は、なんで私だけこうなんだろう、イヤになっちゃうと思いながら、
人のことなんか気にしない、自分は自分なんだから!と
自分に言い聞かせながらも、それを人には悟られまいとする。
それでも、妬みなんかと無縁そうに見える人を羨み、やっぱりイジイジする。
最悪だ。


その気持ちは「妬み」。でも悪い事じゃないらしい。

だけどこの妬み、実は大事な感情の一つなのだという。
そして、妬みは誰もが抱く普通の感情で、
そういう感情を抱かない人などいないのだそうだ。

な〜んだ、みんなそうなのか。
なんで私ってこうなんだろう・・・と世紀も生きてきちゃったよ。

それを知っただけでも価値がある。

でも話はそれだけじゃない。
妬みは人を進化させる上で喜怒哀楽と同じように大事な感情だというのだから、
ちょっと嬉しくすらなる。

それを教えてくれたのは、7月29日の「あさイチ」(NHK)
なんと「妬み」が特集だったのだ。

それによると、今まで人は妬んで進化してきた。
もしも妬みがないと、人はよくなろうとするモチベーションが生まれない、
向上心が湧いてこない、というのだ。

最近の研究によれば、妬みを感じるとき脳の前部帯状回が反応するそうで、
その部分というのは、苦痛を感じそこから逃れようとする時に反応するらしい。
今、脳科学的にもいろいろなことがわかってきたという。


妬みと嫉妬、似ているけど違うもの

妬みと嫉妬、混同されやすいけど、実はちょっと違う。
妬みは、自分が持ってないけど欲しいと思うものがあるときに、それを持っている人を羨ましいと思うもの。
だけど嫉妬は自分が持っているものを奪われそうで取られたくないという気持ち。
嫉妬の方が欲深い(笑)。

どちらも敵意や被害者意識につながるというのだが、
それについて知人に話したら、「ひがみは?」と聞かれた。ムムム?!

ひがみって、妬みって同じ?別?

番組では「ひがみ」については触れられていなかったけれど、
そう聞いてきた知人とあれこれ考えてみた。

「妬み」は

あの人は○○なのに・・・

と他人に目が行くことに対して、
「ひがみ」は

どうせ私は・・・私なんて・・・

と自分に目が行くことと結論付けたが、さて、どうだろうか。


妬みには良性と悪性がある。


さてその妬みにも種類がある。
良性の妬みなら、羨ましく思う人についてそれがその人にふさわしいと思える。
でも悪性なら、その人がそうであること(それを持っていること)が 納得できない。
良性も悪性も本人の思い込みに変わりはないのだけれど、
どこに焦点を当てるかが違う。

悪性を良性にするための方法としては、

妬みの内容を自覚して自分は違うと思うこと、
真似をしないこと、
自分なりの目標を設定すること、

なのだそうで。

なるほど・・・
でもそう簡単にできれば世話ないんだけどね・・・

「妬み」を力に変える

番組の中では、
自分が羨ましく思う人を見に行って自分に火をつけた尾上松也さん(歌舞伎俳優)や、
羨ましく思う人を観察し自分と何が違うかを見て、それをそのまま自らの目標にしたわたなべぽんさん(漫画家)が紹介されていた。

あれ?!
それって、心が元気な時に無意識の中でやっていることがあるかも。
それを今度は意識してやってみると、イヤな「妬み」がパワーに変わる可能性がありそうだ。

人はどうしても怠け者。
自ら目標を設定しても、忙しくなると忘れがちだったり、先延ばししたり・・・・
仕事の〆切のように他人に設定された期限がないと、自分を鼓舞し続けることは大変だ。
妬む気持ちがあるからこそ、忘れない、やり続ける。
たしかに「妬み」は目標を持続させる力があるというのも、なるほど、うなづける。



<参考>
国立研究開発法人 放射線医学総合研究所
妬みや他人の不幸を喜ぶ感情に関する脳内のメカニズムが明らかに
―妬みに関する脳活動が強い人ほど“他人の不幸は蜜の味”と感じやすいことが脳科学的に証明された―
http://www.nirs.go.jp/information/press/2008/index.php?02_12.shtml