2015年9月22日

好きだった食べ物が、今、実は嫌い?! 


子どもの頃好きだった食べ物は何でしたか。
その食べ物を今でも好きですか。

食べ物の好みは年齢とともに変わっていくもの。
自分のことならそうわかっているのですが、
人の好みとなると、意外に変わらないものと思いこんでしまいがちだと気づきました。

私の父は穴子が好きだった

父は昔から鰻や穴子が大好きだった。
子どもの頃、わざわざ遠くのおいしい鰻屋さんまでしばしば家族で出かけたものである。

今、私が住んでいる近所のお寿司屋さんは穴子寿司が有名で、持ち帰りも充実している。
10年くらい前にその穴子寿司を実家に買って帰ったところ、
父は旨い旨いとたいそう喜んで食べた。
それ以来、私は実家に帰るときには、よく穴子寿司を買って帰るようになった。


実は嫌いなの・・・

シルバーウイークの1日、
実家に行くにあたって、私は「穴子寿司買って帰ろうか?」と母にメールを送ったところ、
「申し訳ないけど、実は嫌いなの」と返信が戻ってきた。

なんだって?!
大好物だと思ったからわざわざいつも買って帰っていたのに・・・・。
どうやら私の思い違いだったようだ。

以前好きだったものが、今でも好きというわけではない

父はたしかにかつて穴子が大好きだったのだが、今はその穴子寿司が口に合わないらしい。
実際のところは、穴子自体が嫌いになったというわけではなさそうなのだが、その穴子寿司が口に合わわなくなったのだと言う。
親は年をとり、体の変化と共に食べ物の好みが変わっているのかもしれないし、そのお寿司屋さんの味が変わったのかもしれない。
そのあたりのことはわからない。

気遣うのも善し悪し

それにしても、そんなこと、早く言ってよぉ~
私のほうも、時間がないのに穴子寿司を買うために今まで無理したことが何度もある。
そうと知っていれば無理して買うこともなく、私も手ぶらで帰ればよかったのに~。

父にしてみれば、いつも当然のように買って帰る私を見て、
本当のところを言い出せなかったのかもしれない。
娘の私を気遣ったのだとしたら、余計な気を遣わせて申し訳ないことをした。

親のことを知っているつもりでも、実際のところはいったいどこまで理解しているのだろうか。
時間の経過とともに、親も周りもいろんなことが変わっていく。
それなのに、一度インプットされた親のことは、当然のことのように自分の中の思い込みになっていることを知るのだ。

知っているつもりでも知らないこと、変わっていることは思っている以上に多い

考えてみれば、自分自身の食べ物の好みもかなり変わってきた。
かつての私はこってり好きの大食漢。ガツガツ食べたものだが、今では野菜好きであっさりしたものを好んで食べる。
私がこんなに変わったのだから、80歳を超える親の好みが変わるのは当然といえば当然だ。

昔のように確執がありながらも一緒に暮らしていた時代と違って、今は互いに気遣った核家族が当たり前。
迷惑になりたくない、自分の生活を大事にしたい、などいろんな背景があるだろうが、そのおかげでちょっとした日常や、毎日の微妙な変化を、実は知らない。
定期的に通い、家族円満でわかっているつもりでいるから、あ0る瞬間に実際のところ意外に知らないことに気づき、驚いてしまうのである。

エンディングノートを書く人は、一度書いて終わりにしてはいけない。
人の気持ち、考え方、世間の常識は時々刻々と変わるものである。
書くなら、いつの情報なのかの日付を。
そしてできれば時々見返して、変わったら変わったことを加筆しておきたい。
消して書き直すのではなく、加筆すれば変化の過程もわかる。

今、どんどん老いて弱っていく親にとって、食べ物の好みはこれから大事な情報だ。
意識して気にしておこう。
今日知った「穴子寿司を実は嫌いになった」ということも、私たち姉妹間で共有しておこうと思う。





  10月5日(月)18:30~  
    ※9月9日(水)開催予定でしたが台風の影響により延期を決定しました。
    もしも今・・・?!
     命にかかわる医療について、もう少し考えてみる

  10月14日(水)18:30~
    自分のルーツと家族の関係
     ~家系図から見えてくること~

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