2016年2月2日

現代の都市型お墓を見に行ってきました~特徴は、綺麗で便利~

東京ではかなり前からお墓不足と言われています。
時代の流れで、最近はいろんなお墓の形が出てきました。
今、話題なのは、やはり機械搬送式の納骨堂でしょう。
いい機会があったので見学(※)に行ってきました。

※今回の見学は、供養コンシェルジュ協会の勉強会。
 供養コンシェルジュ協会では毎月1回勉強会を実施しています。
 供養コンシェルジュだけでなく、一般も参加できる勉強会で、
 供養や供養周りの事情や話題をきっかけにいろいろ考えるいい機会になります。
 なかなか機会がない見学や聞なかなか聞けない話を聞けることもあります。


山手線目黒駅から1駅、そこから徒歩5分。

こちらが正面入口である。


ひかり陵苑は都心とは言いながらも、
入口はご覧のように古いお寺の風情はたっぷりだ。
ちなみに私は間違えて裏の入口から入ったのだが、そちらからは階段なしで入れた。


中に入るとこの建物がそびえている。
広告でよく見かけるのもこちらの建物。
周辺は普通の住宅街なので離れていてもこの高い建物を見つけられる。
私は駅からこの建物を目指して歩いてきたのだ。

建物の中に入り、カードを使ってお墓を呼ぶ

建物の中に入ると、まるでホテルのようだ。
気楽に何でも聞けるようなフロントがある。
その前にはエレベーターがある。
現代のお墓はバリアフリーが基本だ。

フロント横にはこういう↓パネルがある。
キャッシュカードのようなカードをかざすと、


お墓詣りするためのお墓が自動的に呼び出される仕組みだ。
でももしカードを持ってなくても、名前を言えばフロントで調べてくれるそうなので、
カードがないからと言ってお参りができないわけではない。

エレベーターでフロアを上がり、お墓詣りの部屋に入ると、こんな風になっている。
とても綺麗な空間だ。


一見すると銀行のATMによく似ていて、ブースが左右に並ぶ。
隣りブースとはパーテション付き柱で仕切られており、
屏風のように見える扉が開くとお墓が出てくるのだ。


先ほどかざしたカードを元に呼ばれてきたお墓がこちら。
実際には墓石ごと呼ばれてくるわけではなく、
墓石手前の「○○家(写真の場合は浦田家)」の周りの墓石は固定されており、
「○○家(写真の場合は浦田家)」の部分だけが差し替わって呼ばれてくる仕組みだ。

ちょっと見にくいけど両脇に飾られている花は造花ではなく生花。
霊園側が毎日お花を生けてくれるそうで、
お参りに行くのは手ぶらでもOKとのこと。これは便利だ。

このタイプでも十分綺麗なのだけど、
別のフロアにはこちらとはまた違うデラックスなタイプもある。


お参りの時に故人が好きだったものをお供えする場合は
お参りが終わったら、そのお供物は墓前からは引き上げなくてはいけない。
けれども、ブースが左右に並ぶ部屋の正面には豪華な供養台があり、
もしお花や御供物などを持参した場合は、お参り後にこちらにお供えすることができる。

最近は、昔ながらのお墓でも
「お供物は鳥が荒すから持ち帰るように」と言うところもよくあるが、
持ち帰るのもちょっと・・・と思っていたけどこれならいいですね~
などと勉強会参加者たちが語り合っていた。そういう人にも安心だ。
その日もいろんなお供物がお供えしてあった。
綺麗で立派な供養台だ。
持参してもしなくてもいい、
持参した場合には持ち帰ってもお供えしておいてもいい、
こういうフレキシブルなところは、
都会の人に受け入れられやすいことの一つだろうと思った。



さらに奥にはこんなお部屋↓も。
ここで遺族が待ち合わせもできるんだとか。
お参りのあとにゆっくり休むこともできる。
なお、ブルーの天井には星のように輝くのはスワロフスキーだそうな。



最上階には立派なお寺の本堂があった。
別のフロアには葬儀や法事法要ができるような個室が各種用意されている。
もちろん食事もできる。

ここに来れば全部いっぺんにできるから
移動に不安な高齢者が集まる場合に喜ばれるのもわかる。
まさに便利そのもの。
そして建物自体もお部屋もお墓も清潔感があり、綺麗なのがいい。

都心にあって、駅にも近くて、綺麗で、バリアフリーで、
いかにも都会の人のためのお墓である。

今、近くにお墓がない人には
お墓参りの習慣がないまま大人になる人もきっとたくさんいるだろうけれど、
こんなに近くて便利で綺麗な場所であれば、
家のお墓がこういう場所にある都会の子どもは、意外に家族に連れられて
日常的にお墓参りの習慣が身についていくのかもしれない。

なぜ機械搬送式の納骨堂なのか


今、このような機械搬送式お墓を求める層として代表的なのは
改葬を視野に入れる人たちなのだという。
改葬というのは、すでにあるお墓を移すこと。
首都圏に住む人たちの中には、お墓が遠く離れた郷里にあるという人は少なくない。

集団就職がニュースになり、続々と地方から首都圏に就職で出てきた人たちが、今60~70代だ。
ちょうど核家族がだんだん当たり前に変わっていった世代でもある。

郷里にはもう親類縁者はほとんどいなかったり、
いてもおつきあいが薄くなっていたりする人たちが
首都圏にお墓を移したいと思うのは、理解できる。
さてどこのお墓に移そうか、というときに今はこういうタイプに注目が集まっているのだ。

前は眺めの良い霊園が人気だった。
富士山がきれいに見える、ピクニック気分でお墓参りに遊びに行けるから寂しくない、と。
丘陵地帯を切り開いたお墓を購入し、当時お墓参りをしていた人たちも、
だんだん高齢化してきた。
丘陵地帯の霊園は坂道が大変、遠方だと1人では行けない、等々
お墓詣りに行くことが簡単ではなくなってきたことを身に沁みる人たちは少ないはずだ。
そういう高齢者に付き添うような子ども世代が、ちょうど今、お墓の選択決定権を握る。

昔々は、お墓なんて偉い人しか持っていなかった。
一般的な寺院墓地の歴史だってまだせいぜい200年というところだろうか。
公園墓地の歴史なんて、100年もたっていないだろう。

お墓というのは、この機械式搬送式納骨堂からさらに進化していくのかもしれない。